ドラマ

2008年5月30日 (金)

「SATC」と乳がん

数年前にWOWOWで録画したドラマ「SEX AND THE CITY」のシーズン6を、今週数話ずつ見てました。

好きなドラマの最終シーズンなので、もう何度も見てますが、そのエピソード14~20に、ヒロイン4人のうち最年長のサマンサが、豊胸手術のカウンセリングで乳がんを発見され、術後療法で脱毛、のぼせ、異常発汗、性欲減退が起きるところが出てきます。

今まで気がつかなかったけど、この吹き替え版では、サマンサのセリフもキャリーのナレーションも、術後療法をすべて「放射線治療」と言っていて・・・?

エピソード16なんて、病院で抗がん剤を点滴してるシーンなのに、「放射線治療を受けるサマンサを元気づけようと集合した。ラウンジ・バーにでもいるような雰囲気を演出しようというわけだ」というナレーションに・・・?

オフィシャルサイトのエピソードガイドでは、「化学治療」「ガン治療の副作用」という言葉になっていて、吹き替え版の台本が間違ってたことに、今回初めて気付きましたcoldsweats01

ともあれ、8月23日には映画「SEX AND THE CITY」が公開されるし、その前の8月8日~17日には、WOWOWで全6シーズンの字幕版一挙放送があるので、また録画して見るつもりtv

ちなみに、ミランダ役のシンシア・ニクソンは、2006年に乳がんを治療したことを今年4月に公表し、スーザン・G・コーメン乳がん基金で早期発見を呼びかける活動を展開中。

そのビデオ5本がアップされていて、うち1本は「A message for gay women」というタイトル。

英語なので内容はよくわかりませんが、ドラマのミランダも偉かったけど、シンシアも偉いね~と思いました。

2007年4月15日 (日)

昨夜の「CSI:6」

昨日、モニタのバックライトが切れた自宅のノートPC。一昨日まではちらつきがひどくてイライラしたけど、今はそのちらつきも消え、デスクライトを前から当てれば、見えなくもないという状態。ほかに悪いところもないようなので、明日、知ってる電気屋さんに修理をお願いしてみるつもりです。

というわけで、今も“フロントライト”状態で使ってますが、モニタをいたわる気持ちがあるからか、一昨日~昨日は却って仕事がはかどり、来週分の準備がほぼ終わったので、夜はゆっくりドラマ三昧。

10:00「CSI:6」、11:00~「CSI:ニューヨーク2」、0:00~「グレイズアナトミー2」を録画しながら見ましたが、昨夜スタートした「CSI:6」の第1話、すごーくよかったです。タランティーノが監督した第5シーズンの最終エピソード(前・後編)をうまく受けてて、再結集したメンバーの今後に期待大。

ニックは、以前と同じく元気で優しそうなのに、外で腕に虫が付くと、養樹園に生き埋めにされてヒアリの群に食われたときにフラッシュバックしてしまうし、誘拐されたときに目を離していた警官の謝罪の電話に出てない様子。

グリッソムはニックを気遣って、爆死した犯人に共犯者がいたことを示すカセットテープが発見されたことを伏せてたけど、完全解決&ニックのトラウマ解消までには、まだまだ一波乱ありそうな感じ。

ウォリックは、チーム分裂の間も一緒だったキャサリンに、ニックの事件があって急に結婚したことを事後報告。寝耳に水で、仕事の話しかしようとしないキャサリンに、

「キャサリン、聞いてくれないか、俺のこと。・・・ニックの一件があって考えさせられた。人生はあまりに短く儚い。いつ何が起こるかわからない。予想もつかない。・・・だから、俺は、慌てて今付き合ってる女性ティーナにプロポーズした」
「喜ばしいことだわ」
「そうか」
「ええ」
「喜んでくれてるように見えないんだけど」
「ウォリック、夢を追いかけるのは、いつか実現するっていう楽しみがあるからよ。その可能性が今はゼロになってしまった。がっかりしただけ」

第6シーズン開始早々のウォリックのスピード結婚。離婚するための結婚みたいで、こちらのほうも一波乱の予感。

まあ、いろいろあっても、終わりよければすべてよしなので、ニックも、ウォリック&キャサリンも、グリッソム&サラも頑張ってほしいです(^-^)

2007年4月 2日 (月)

海外ドラマと理想の上司

年度始めだというのに、海外ドラマが楽しみな私。

(月)23:00「ER12」・・・4月2日スタート
(火)22:00「ミディアム2」・・・4月17日スタート
(水)23:00「FBI 失踪者を追え!3」・・・4月4日スタート
(土)22:00「CSI:マイアミ4」・・・4月7日最終回
   22:00「CSI:6 科学捜査班」・・・4月14日スタート
   23:00「CSI:NY2」
(日) 0:00「グレイズ・アナトミー2」

こんな感じで見ることになりそうですが、一番楽しみなのが「CSI:6」のスタート。

某生命保険会社が行った新社会人アンケートの「理想の上司」は、男性が古田敦也、女性が篠原涼子だったそうですが、私なら、男性が「CSI」のギル・グリッソム、女性がキャサリン・ウィロウズ。

昆虫好きのグリッソムは、世間的には一癖あるけど、彼がいるからチームがまとまるという感じ。前シーズンで昼夜シフトに分裂されたチームも、夜間シフトで再結成されるし、グリッソムとサラの関係も、タランティーノが監督した前シーズン最終エピソードで生き埋めにされたニックのトラウマも気になります。

 ←いつか買いたいDVD(^_^;) 

その前に「マイアミ4」の最終回がありますが、今シーズンは、デルコの姉でガンを患うマリソルとホレイショの恋愛を筆頭に、捜査官の個人的なエピソードが増え、CSI内のスパイ疑惑、「NY」との2度目のクロスオーバーなどいろいろあったのに、一番しっかりしてたのはカリーお姉さんという感じ。

ちなみに、「NY」のマック・テイラーやステラ・ボナセーラも素敵ですが、毎日顔を合わせるには眩しすぎるので、やっぱり理想の上司は、グリッソムとキャサリン。マリソルを失うホレイショやデルコとは、今週でしばしのお別れになりますが、グリッソムやキャサリンとの再会が楽しみです。

2007年1月11日 (木)

「派遣ですが、何か?」

昨日は、職場にいた時間の半分が会議。そのせいで頭痛や寒気がするのかと思っていたら、帰宅してから鼻水が出はじめ、ティッシュが何枚あっても足りません。

お風呂で温まったら少し楽になったので、職場で「○○の書類だけ先に必要なので、明日中に」と言われた書類を作って送信。明日使うスライドの確認もして、早めに寝ようかな・・・と思いましたが、こたつに入って日テレの「ハケンの品格」初回をチェック。

篠原涼子扮する〈スーパーハケン〉大前春子。PCやマーケティング、お茶入れのスーパースキルに加えて、クレーン車の免許まで持ってて笑えましたが、私の友人・知人にも、できる元・派遣さんや派遣さんがいて、能力的に↓な正社員の権限・待遇に納得いかないこともあったので、今後の展開が楽しみです。

すごーくできる元・派遣の友人は、現在、正社員。大前春子の無表情な「何か?」というセリフに彼女の声が重なりましたが、彼女のエライところは、配属部署や業務内容、上司や部下を選べない社員になっても、自分の仕事にプライドと責任を持って、社風には流されず、「何か?」と言ってるところです。

2006年10月25日 (水)

『anego』の恐怖

昨夜、林真理子『anego』(小学館、2003年)を初読。

 

帯裏のコピーは、「まさに、恋愛ホラーともいうべき新ジャンルを確立した衝撃の長編小説」。

日テレ系のドラマ「anego」(2005年4~7月)も、ときどき見てましたが、内心の独白をテロップにしていたドラマと比べ、確かにこっちは怖ーい結末。

amazon等のカスタマーレビューで、それがよくわかってない人がいるのは、恋愛依存症や共依存の怖さを知らないからかな・・・と思いました。

恋愛依存症の古典ともいえる、ロビン・ノーウッド『愛しすぎる女たち』(読売新聞社、1988年)が刊行されて20年近く。

原著はアメリカで1985年に刊行され、登場する人々はアルコール依存症やDV(ドメスティックバイオレンス)との重複も多く、訳文は少々読みにくいのですが、その後、日本でもさまざまな恋愛依存症、家族依存症の本が出版されました。

 ←現在は、文庫本で手に入ります。

で、小説『anego』の沢木夫妻、この依存症、共依存に苦しみながら一方が死ぬまで離れられず、主人公・奈央子をとうとう巻き込んじゃったなあ・・・と。

ドラマでも、“アネゴ”こと奈央子(篠原涼子)は、元後輩OLで精神不安定な絵里子(ともさかりえ)にさんざん振り回されますが、自殺を図った絵里子を奈央子が救い、回復した絵里子は沢木(加藤雅也)と離婚。

奈央子も沢木と別れ、彼女に思いを寄せ続けた後輩の黒沢(赤西仁)のプロポーズも断りますが、モンゴルに赴任した彼から、改めて“遠恋”を育むようなメールが来て・・・というハッピーエンドだったと思います(スペシャルの印象も混じってるかも)。

だから、怖いといっても、他人との距離を測れない絵里子が奈央子に頻繁にかけてくる相談の電話、呼び出し、奈央子の会社に送った夫との不倫を糾弾するメールやFAX、自殺未遂までで、最終的には、その絵里子も「愛しすぎる女」から離脱していました。

でも、原作では、沢木夫妻がともにカゼ薬を一瓶飲んでガス心中を図り、2人目の子を妊娠していた絵里子は、沢木が眠った後に包丁で割腹自殺を遂げます。

その前に沢木との関係に終止符を打ち、合コンで知り合った森山(ドラマには登場しない)と結婚を決めていた奈央子は、ワイドショーや週刊誌で「美人OLとの三角関係のもつれ」と報じられ、会社に辞表を提出。

結婚の意思を翻さない森山に別れを告げる奈央子のセリフは、この後、自らが「愛しすぎる女」になる予告のようです。

「私ね、ものすごく濃密なものを見てしまった。それまで男と女って、こんなふうにどろどろと相手を奪い合うものだってこと知らなかった。(略)」

「でもね、私、見てしまったの。見てしまったのは、私が選ばれた人間だから。私、やっとわかったわ。誰かが何かの意志で、ふつうの人たちが見られないものを見させてくれた。だから私は、もう元には戻れないの。ふつうの結婚なんか出来ないの」

沢木は会社を辞め、娘の真琴を連れて岐阜の実家に帰り、奈央子は東京の小さい会社で派遣社員として働き始めますが、その半年後、真琴が奈央子にかけてきた相談の電話は、かつての絵里子とそっくり。

あどけなさのなかに、死んだ母から奈央子へバトンをつなごうとする怖さが漂っています。

「あの、ずっと前、お母さんから、もし困ったことがあったら、このお姉さんに相談しなさいって言われてたの。きっと助けてくれるからって」

「あのね、あたし、すごく困ってるんです。お父さんがまた病気になって、おばあちゃんも年寄りだから、私のめんどうをみられないんです。(略) だからお姉さんに相談しようと思って・・・」

沢木の実家に行き、入院先を見舞った奈央子は、「都会で颯爽と生きていた頃のおもかげはない」沢木を見て、「大きな熱い感情」がこみ上げ、「男とその娘を、この窮地から救いたい」と思い、傍にいる真琴に「これからお姉ちゃん、いっぱいくるわ」と話しかけますが・・・。

真琴は黙って頷き、そして顔を上げた。奈央子は息を呑む。恐怖で体が凍りついた。その黒目がちの大きな目は確かに絵里子のものであった。

母娘だから、というだけではない絵里子と真琴の相似性。

沢木も、絵里子の「罠」や「策略」を言いながら、妻に暴力をふるったり、かつて沙知子(ドラマでは、大塚ねね)に語ったのとまったく同じ言葉で奈央子との幸せを語り、妻に「僕にはもう好きな女の人がいる」と口走ってしまう共依存者。

奈央子の言葉を借りれば、「相手が自分を嫌うようにしか愛せない」夫婦とその家庭だったわけですが、小説は、絵里子の死によって欠けてしまった役割を、奈央子が担うことを示唆して終わります。

奈央子が結婚を取り止めた森山は、元早稲田のラガーマン。

明るく真面目な広告代理店の社員という設定で、絵里子の死後、奈央子を糾弾するマスコミに対して、「結局ナオコは、あの異常な夫婦に巻き込まれたようなものじゃないか」と憤慨しますが、彼のように健全極まりない人には無縁かつ理解不能な世界なのでしょう。

ドラマがここまでの展開を回避して、絵里子の命を救い、原作では元同級生の彼女とさっさと結婚してしまう黒沢を結婚させず、森山の健全さをあわせた形で奈央子を救うのは、深刻な“恋愛依存症”もの=“恋愛ホラー”にしないため、そして赤西クンのファンのためね・・・と思いました。

というわけで、一流商社の30代OLたちの様子、仕事の悩み、衣食のファッション、合コン、デート、セフレの存在や上司との不倫、寿退社などもおもしろいのですが、その日常性が沢木夫妻の非日常性と接点を持ち、奈央子が囚われていく様子がすごーく怖い小説でした。

用語自体は出てきませんが、過去に「愛しすぎる女」だった人、「愛しすぎる女」や共依存者に相談されたり、かかわったことがある人には、怖さ倍増かもしれません・・・。

2006年10月 8日 (日)

CSI×タランティーノ

WOWOW「CSI:5 科学捜査班」の最終エピソードは、2話連続のタランティーノ・スペシャル「CSI “12時間”の死闘」。

先週の前編では、内臓が遺棄された現場の鑑識中、ニックが何者かにエーテルを嗅がされ、拉致されるという事件が発生。グリッソムチームとキャサリンチームが共同で捜索するなか、犯人からカセットテープとUSBメモリが届きます。テープの曲は、CSIを嘲笑するような歌詞。メモリを開くと、12時間以内に100万ドルの身代金を要求するメッセージと、透明の棺桶型の箱で生き埋めにされたニックの映像が映し出されます。ラスベガス市は、テロリストとの交渉には応じないと身代金の用意を拒否。キャサリンは、実父のカジノ王サムに、警官ではなく娘として100万ドルを出させ、グリッソムが指定された場所へ。犯人は年配の男性で、グリッソムに次のように語った後、腹部に巻いた爆弾で自爆します。

救いたいのに何もできないというのは、どんな気持ちだ。
死ぬほど情けないか。無力で、役立たずで、無能な自分が。
それが私の心境だよ。

で、昨夜の後編。『WOWOW MAGAZINE』10月号に、「爆発現場から犯人の親指が発見され、DNA鑑定で服役中の娘の存在が判明する」とあったので、「もしかして、あのレディ・ヘザー?」と期待しちゃいましたが、なわけなかったです(^_^;) 

爆発現場でサラが発見した親指の指紋は、犯歴者に該当なし。でも、DNA鑑定で3年前から服役しているケリー・ゴードンの父親だとわかります。ブラス警部が刑務所に行きますが、彼女は刑期を短縮するというブラスの言葉を拒否。現場では、犬の死体が入った試作品らしい箱が掘り出され、バッテリー残量から、ニックの箱の酸素はあと90分しか持たないことが判明。Webカメラの設置場所を捜すのに時間がかかるなか、箱の割れ目から大量のアリが入り込み、昆虫大好きグリッソムの面目躍如シーンに!

アリだ。生きながらにして喰われてる。
こっちへおいで。おいで。さあ。君の全身を見せてくれ。

アリの種類からベガスでの生息地がわかり、カメラの設置地域もわかり、ケリーが働いていた養樹園へ急行。箱が見つかったところへ、ラボに残ったホッジスから、試作品に重量変化に反応する爆弾が仕掛けられていたという電話が入り、ニックの体重と同量の土を入れると同時に救出。「マイアミ」のスピードルみたいに、死ななくてよかったねー、ニックー!(助かると思ってたけど・・・)という話でした。

発見される直前のニックの幻覚。検視官のロビンス先生たちが楽しそうに解剖する自分を見ているモノクロ・シーンは、いかにもタランティーノって感じでしたが、中心はニック救出劇で、殺人の共犯者として服役するケリーが、本人や父親のいうように冤罪なのかどうかは追究されず。

ケリーが主犯の男と現場に行き、発泡スチロールのカップを落としたのは事実で、検出されたDNAも彼女のもの。判決は、殺人課の捜査や検察局の判断、裁判の結果で、DNAを検出したCSIのせいじゃないはずなのに、父親は娘を救えない心境の矛先をCSIへ。CSIの仕事は、証拠がすべて。でも、物証がなければ分析できず、その限界に端を発したような今回のエピソードが、アリに喰われた痕も痛々しいニックの「お父さんにしても君への愛情から」、「あと何年かしてここを出たら、こんな過去は引きずるな」という、ケリーへの涙ながらの言葉で終わるのも、その限界の受容かな・・・と思いました(もちろん、自分自身への鼓舞でもありますよね)。なので、今後のニックの成長に期待!

個人的には、通算100話目拡大版スペシャルのほうが好きで、シーズン5の途中でグリッソムの上司に成り上がり、彼のチームを分割したエクリーの、いつもより妙にいい人そうなキャラに違和感が・・・。そのエクリーに、グリッソムが「部下たちを私に返してくれ」って言ってたけど、やっぱり「CSI」は旧グリッソムチームが一緒に仕事してこそでしょー!という基本中の基本は堪能できました。

で、シーズン6の放映を待ちながら、来週からは「CSI:マイアミ4」。グリッソムと同じくらい大好きなホレイショ(CV:石塚運昇さん)にお目(耳)にかかりたいと思います(^-^)

2006年9月22日 (金)

黒と赤

昨日、原作と同じく「真実は薮の中」で終わった「不信のとき」。ドラマだから、もうちょっと思い切った結末つけるのかと思ったら、そうでもなかったですね(^_^;) 

にしても、道子とマチ子の対照(コントラスト)と対称(シンメトリー)は、よく表現されていたと思います。

1人の男を挟んでの「妻」と「愛人」の対照と対称。それに安直に善悪をつけたんじゃないことは、終盤の2人のセリフにも、道子とマチ子が勝負していたルーレットの玉が、黒でも赤でもなく、ゼロに止まったエンドロールにも明らか。

それを「妻」でも「愛人」もなく、「子ども」に側に立つ和子の視線とナレーションが、うまく対象化していたと思います。

最終回でおもしろかったのは、道子とマチ子のファッション対決。

とくに、1)道子がマチ子に病床の浅井に会ってほしいと頼む場面では、道子は黒のスーツの下に赤のセーター、マチ子は赤のスーツの下に黒のセーターとストール、2)浅井の納骨を終えたという道子がマチ子のブティックの前を通り、互いに妻の意地、愛人の意地を語る場面では、道子は黒のスーツ、マチ子は赤のスーツというところ。

2)で、互いに自分の立場の意地を語るのに、相手側の色のセーターや小物がないのは当然ですが、その2人の前には、かつて別の店先で偶然出会ったときと同じ白のウェディングドレス。

これ(結婚)があるから、妻(黒)と愛人(赤)があるという画面づくりがおもしろかったし、その「意地」が2人の女を強くしたというセリフからは、1)についても、示唆するものがありました。

「妻」という生き方をまとった道子、「愛人」という生き方をまとったマチ子というもので、「○○として生きる」ということは、その女性たちの本質ではなく、状況の中で選び取ったアウターでしかないということ。

義道が浅井の子でなくても、道子は浅井の「妻」だし、法子が浅井の子だとしても、マチ子は浅井の「愛人」。

それをまっとうした女性2人に、安易な善悪の結末をつけず、一種のすがすがしさを持たせてドラマを終わらせたのは、個人的には気持ちよかったかな。

でも、これまで(とくに後半)、義道や法子は誰の子か・・・という線で視聴者を引っぱってきてるので、公式サイトのメッセージ(BBS)に、「誰の子かはっきりして」「スペシャル版を作って」という声があるのもごもっとも。

道子は、最後まで義道が人工授精児だと言ったことを撤回せず、浅井もそれを受け入れたうえで、道子と義道が自分の家族だと感謝して死んだのに、浅井の母は、墓前で「義雄、あなたが無精子なんてこと、ありえないと思うんだけどねえ」と怪しい微笑を浮かべるし、浅井の死が近いことを聞いて動揺し、法子を抱きしめて泣いたマチ子の店先には、これも怪しい微笑を浮かべて通り過ぎるかつてのクラブの客。その場面のBGMも、「火サス」顔負けに怪しかったし。

ただ、最終話で効果的に使われた黒と赤が、白(結婚)を起点に、黒は公的な存在、赤は私的な存在を示すものなら、黒いスーツの下に赤のセーターを着た道子は、浅井の子を産んでいないのに公的には浅井の子の母、赤いスーツの下に黒のセーターを着たマチ子は、浅井の子を産んだのに公的には浅井の子の母ではない・・・という解釈も可能かなあとは思います。

浅井が死んだ数年後、白(結婚)の呪縛から解放されたかのように、それぞれ白いスーツを着て、晴れ晴れとした顔で、子どもの手を引いて歩く道子とマチ子。

和子は児童養護施設で働いていて、ナレーターとしては、「人間とはつくづく滑稽な生き物。必死でもがいて、泣いたり笑ったり」、「しかし、人間は、滑稽だからこそ愛おしい存在なのだろう」、「そんな滑稽な大人予備軍の子どもたちには、愛情をいっぱい注いであげたい」、「だって、子どもには罪はないのだから。大人は不信の塊でも、子どもは無心の塊なのだから」と語ります。

その後、上記の浅井の母やマチ子の昔の客の場面があり、「真実は薮の中」と真相を明らかにせずに終わったのは、視聴者のあなただって、「不信の塊」の大人なんだから・・・という感じ。

という具合に、黒と赤という色に着目して見た最終回でしたが、公式サイトのトップページの色調も、道子が黒、マチ子が赤なのに、ドラマの毎回のエンドロール(ルーレットで勝負してるイメージ映像)では、道子が赤、マチコが黒のドレスを着てるので、たいした意味づけはないのかも・・・。

最終回を考えると、ここも道子が黒、マチ子が赤ならよかったのにと思いましたが、「毎日おんなじものを着たって大丈夫。」(S・ベッカー『大事なことはみーんな猫に教わった』)というネコと違って、「滑稽な生き物」である人間は、ときと場合によって黒も赤も着分けるしね・・・なんて思ったりしました。

2006年9月15日 (金)

「不信のとき」の行方

昨日、木曜はドラマ「不信のとき」。現代版として設定等は変えながら、有吉佐和子の原作の世界もしっかり押さえ、新たな結末をつけ加えようとしているプロデューサー&脚本の栗原美和子さんの力技に感服。彼女、有吉の一人娘の玉青さんと同年代ですが、脚本家・演出家としても活躍した有吉が生きていたら、喧々諤々と議論しながらも大いにその力量を認めたのでは・・・と思ったりしてます。

「不信のとき」について、今まで書いた記事は3つ。
 「不信のとき」は薮の中(8月19日)
 続・「不信のとき」 (8月30日)
 「不信のとき」の弟(9月8日)

原作は、男と女の関係は一皮めくれば薮の中、薮を突くとどんな蛇が出るか、その怖さを考えもしない男たちに教えてあげましょう・・・というもの。読みどころは、信じていたもの(妻や愛人の言動、自分の体)が信じられなくなったときの怖さ、そこに至る周到な伏線で、そのために有吉は、浅井にも読者(『日本経済新聞』連載で男性が中心)にも、浅井は本当に先天性無精子症なのか、義道は本当に人工授精児なのかについて、あえて明確にしませんでした。真相は薮の中。薮の中に何を見るかは読者に任せるけれど、見えるものより見えないもののほうが怖いのよ・・・とでもいう作りになっています。

和子や近藤の役割も含めて、ドラマの第11話までの展開は、ほぼ今までの予想どおり。子どもの父親は誰かという「犯人探し」への興味をそそりながら、原作の「薮の中」的世界も再構成してきたドラマですが、最終話では新たな結末が加えられそう。これは、小説とドラマというメディアの違い、1967年と2006年という連載/放送された時代の違い、男性中心だった読者と女性中心である視聴者の違いから、浅井や小柳など男たちだけでなく、道子やマチ子など女たちは何を考えたのか、したのか知りたいというニーズに応えるため・・・。でないと、公式サイトのBBSは文句ブーブーになっちゃいますよね?

そのために、第11話では、原作にない浅井の進行性胃がん(末期)を設定し、近藤に「ご主人は、人工授精の話、信じたんですよね」、「僕と結婚しよう。ね、それが一番自然に決まってるんだ」という意味深なセリフを与えました。第11話までの展開と最終話の予告から、考えられる決着の可能性をあげてみると・・・。

(1)浅井は先天性無精子症。義道も法子も浅井の子ではない。
 →義道の誕生は
 ①人工授精(第三者の精子)による。
 ②人工授精(近藤の精子)による
 ③近藤とのセックスによる。
 →法子の誕生は
  第三者とのセックスによる。

(2)浅井は先天性無精子症ではない。義道も法子も浅井の子。

道子が浅井に主張するのは(1)の①ですが、上記の近藤のセリフからかなり怪しげ(道子が浅井に対してウソをついていることを示唆)。では、②や③かというと、それもないなあ・・・。小説でも、一般読者の多くが、浅井は先天性無精子症と決め付けてるけど、最終話は(1)全体を覆す決着になるのでは・・・と思います。

では、その逆の(2)かというと、「なーんだ」と視聴者が盛り下がるのは必至。エンタメ精神随一のフジテレビと栗原女史がそんなことするはずはないと思うので、考えたのが別の可能性。子宮頸管粘液と精子の適合性が悪い、抗精子抗体価が高かったなど、不妊原因は道子にあったというもので、姑や夫から不妊症と決め付けられ、「浅井の妻」としての居場所のなさに危機を感じた道子が、人工授精で妊娠したというもの。つまり・・・。

(3)浅井は先天性無精子症ではない。義道は近藤の子。法子は浅井の子。
 →義道の誕生は、
  人工授精(近藤の精子)による。
 →法子の誕生は
  浅井とのセックスによる。

この場合、法子の存在を知った道子は、自己保身のために、どうあっても法子が浅井の子ではないと主張したいので、「あなたは先天性無精子症」「義道は人工授精」と半分ウソ、半分本当の告白をしたと考えられます。で、精子のドナーは近藤。原作で妊娠前後の道子を助ける役どころで登場する弟の代わりともいえる近藤が、「兄弟弟子」として設定された理由になるし、弟ではない近藤には、AIH(配偶者間人工授精)のふりをしたAID(非配偶者間人工授精)ができるし。ということで、私の予想は(3)ですが、すでに十分楽しんだので、外れても、まあ、いっかーって感じ(^-^)

マチ子が去り、道子と家庭内別居をしながら、「不信のとき」を生き続けるはずだった浅井の末期がん。最終話予告では、道子がマチ子に、浅井のもとへ面会に来てくれるよう依頼してましたが、法子が浅井の子だと思ってないなら、その必要はありませんよね。原作にない末期がんは、ドラマに小説とは違う結末をつけるためのもの。安易といえば安易だけど、それも含めて力業だなあ・・・と思います。

最終話で、もしかすると道子は、「あなたが先天性無精子症だと言ったのはウソなの。義道もマチ子さんの子も、あなたの子よ」なんて言うかもしれませんが、言ったとしても、それは死が近い浅井へのいたわりや優しさというもの。最終的に、道子とマチ子は、夫を亡くす女、子の父親を亡くす女として、思いを通わせる形になりそうな気がします。予想が外れて(1)や(2)の場合も、その構図は同じ。(1)なら、浅井を騙さなければならなかった事情や虚しさを。(2)なら、子の父親を亡くす寂しさを。でも、近藤の存在を考えると、やっぱり(3)に期待したいです。

その近藤の「僕と結婚しよう。ね、それが一番自然に決まってるんだ」というのは、「浅井の妻」として安定したかった道子の依頼だったにしても、血のつながる親子が一緒に暮らすのが「自然」という意味だと思うけど、道子の返事はたぶんNO。浅井を愛しながら、マチ子が「銀座の女」として別れを選んだように、道子は、浅井の死後も「浅井の妻」として義道を育てていくことを選ぶのでは・・・と思います。

そこにあるのは、「母は強し」という昔ながらの女性像に留まらない、職業を持つ女のプライドと生活力。マチ子は、自己資金8,000万円に浅井の裏切り(法子が自分の子ではないと言い出したこと)に対する報復で得た2,000万円をプラスして、高級ブティックの経営者に転身。道子は、近藤に頼らずとも、書道家・清堂道子として生きていけるし、そのためには、近藤とのスキャンダル(浅井の生前からの関係かという)は、むしろご法度。ここで、マチ子の弟カメラマンが、前に2人の密会現場を盗撮して雑誌に載せたことが、改めていきてきそう。

浮かばれないのは近藤ですが、彼には今まで同様、胸に屈託を秘めた顔つきで、筆を握っててもらえばいいんじゃないか・・・と思います。女性ファンが多いタレント的な書道家だし、彼にとってもそのほうがプラス(^_^;) 

2006年9月 8日 (金)

「不信のとき」の弟

昨日は、「不信のとき~ウーマン・ウォーズ~」の放送日。先月19日に「『不信のとき』は薮の中」、30日に「続・『不信のとき』」を書いてから、水~金曜のアクセス数が他の曜日の倍くらいあって「へぇ~」と思ってたら、昨日のアクセス数は370、訪問者数は248名。普段は、仕事関係の友人・知人、在京時代の友人など、知ってる常連さまに読んでもらって喜んでるブログなので、ちょっとびっくり。改めて、初めてご訪問くださった皆さまにお礼申しあげますm(__)m

さて、昨日のアクセスのうち、検索サイトからのアクセス数は279でしたが、その際の検索ワード(上位3つ)は以下のとおり。

 1 先天性無精子症 54.5%
 2 先天性無精子   31.5%
 3 不信のとき     15.8%

先日、なかなかコメントを入れてくれない常連の男性に、「私のブログ、最近、『先天性無精子症』ってアクセスが多いの」と言ったら、「ふ~ん、悩んでる男が多いんだ。うちの職場でも心配してるヤツいるしなあ。環境ホルモンの影響かなあ・・・」という反応。「違うよ、女性だと思うよ。『不信のとき』っていうドラマの影響!」と答えながら思い出したのが、原作者・有吉佐和子が書いた『複合汚染』。

 

有吉が「不信のとき」を『日本経済新聞』に連載したのは1967年。「複合汚染」を『朝日新聞』に連載したのは、1974年10月14日~1975年6月30日。ここでの問題意識が7年もさかのぼれるとは考えてませんが、この本の中に、語り手(有吉)と横丁のご隠居のこんな会話があります。

「はい、複合汚染の危険に一番さらされているのは胎児なんです。それも今生れる子供より、十年後、二十年後に生れてくる子供のことを考えると慄然としますね。今の状態で放っておけば若い母親の肉体は汚染されきってしまいますからね。もちろん若いお父さんだって汚染されているわけですから、精子の方にも異常が出てくるでしょう」
「まったく怖ろしい時代が来たものですな」

日頃から、あるいはドラマを見て「もしかしたら・・・」とお思いの皆さまには、ぜひお勧めしたい1冊です。有吉は、こういう社会問題を一市民の目線で一般読者に提示することにかけても名人だったんですから。ご興味のある方は、6月の記事「また読みたい小説」(『ぷえるとりこ日記』と『海暗』のこと)も、お読みいただけるとうれしいです(^_^;)  

「不信のとき」に話を戻します。前にも書いたように、原作の小説では、浅井義雄が妻・道子のいうように本当に先天性無精子症なのか、はっきりとは書かれてません。終盤、マチ子がクラブのお客でもある浅井の会社の常務や会長らに手紙を出し、浅井は彼らに呼び出されます。その後、浅井が「義道は本当に人口受精児か」と道子に再確認する場面がありますが、そこで交わされるのはこんな会話。

「病院で人工授精を受けるときは、夫婦が同道しなければならないだろう? 誓約書は二人揃って書くことになっているようじゃないか」
「弟に行ってもらいました」
「え?」
「弟はいやだいやだと云ったんですけど、あなたがてれくさがっているからって無理矢理つれていったんです。病院で疑われては困ると思って、金沢から戸籍抄本とり寄せて、それも持って行ったんですけど、先生は、その必要はありませんって仰言ったんですよ」

ポイントは、「戸籍抄本」と「弟」。この道子の言葉を裏づけるかのように、「戸籍抄本」については、妊娠前の道子が着物の胸元に挟んでいた封筒を浅井に引き抜かれ、取り返そうとする場面があります。

「何に使うんだい、これ」
「日展に出品するとき作品に添付するのよ」
「二通もかい?」
「いいえ、一通でいいんだけど、何かでいるかもしれないと思って、二通とったの」

「弟」についても、悪阻がひどくて「誰でもいいから傍にいてもらいたいわ」という道子に、浅井が「君の弟の方へ連絡しておこうか」という場面があります。弟の家には、まだ電話がなく、会社に電話したときの会話は次のようなもの。

―え? あ、妊娠したんですか、やっぱり。
と、弟は反射的に云った。知っていたのかと浅井はあまり愉快ではなかった(略)
―はい、すぐ電報うって、行かせますから。それで、異常はないんですか。
「医者は大丈夫だと云ってるんだがね、(略) お母さんに来てもらいたいと当人は云ってるんだが」
―はい、僕からもすぐ行くように電話しておきます。しかし、姉は大丈夫なんでしょう。
同じ質問の繰返しに、浅井は半分うるさく半分奇妙な気がして訊き返した。
「大丈夫って、どういう意味です?」

こういう伏線が道子の言葉を支えてるわけですが、ならばマチ子はどうやって妊娠したかという点は、小説にはまったく書かれてません。バーやクラブに勤めてるから書くまでもないということかもしれないけど、書けば道子の言葉を裏づけることになるし、浅井が自分で検査に行く場面を入れないことで、あえて黒白つけずに提示する・・・。有吉版「薮の中」を書いたのかなーと思うゆえんです。

  ←元祖は芥川龍之介「薮の中」

ドラマには原作の小説にない人物が何人か登場しますが、原作にいてドラマにいない道子の「弟」に着目すると、書道家の近藤慶(小泉孝太郎)が、その役割を負ってるらしいことがわかります。次回予告では、この「弟」的な近藤が、道子にプロポーズするみたい。今回、道子とマチ子の鉢合わせから道子による浅井の「先天性無精子症」説までストーリーが進み、浅井の「近藤の子か」といった言葉もありましたが、いくら現代版「不信のとき」だからって、道子と近藤に肉体関係はありませんよね。

道子の妊娠について何らかの共犯者なのは確かでしょうけど、近藤の道子と義道を見る目は、孝太郎クンの上手くない演技も効を奏して、どこかピュアで「自分の好きな年上の女性が、あのときは夫ではなく、僕を頼ってくれた」という目ですもん。だから、道子と近藤はセックスはしてないけど、道子さんのためならと病院に同道し、本当の弟ではないから、精子を提供した可能性も・・・。でも、今回、道子が病院の医師から「ご主人は、先天性無精子症です」と言われた場面は、道子の義雄に対する説明の映像化なので、事実とは限らないし・・・。小説と違って、道子がマチ子に「先天性無精子症」や「人工授精」のことを言わなかったのも気になるし。ドラマはどういう決着をつけるんだろー? ということで、残り2回も楽しみたいと思います。

いまアクセス解析を見てみたら、今日0:00~5:30の間にアクセス数105、訪問者数65名。検索ワードの上位3つは昨日と同じ。土曜には、また常連さま中心に戻るかなあ。ちなみに、私の「まちこ」という名前は、「不信のとき」のマチ子とは無関係。でも、昨日のドラマでは、セリフに妙にしっとり感があったマチ子(松下由樹)が一番よかったです(#^.^#)

2006年8月30日 (水)

続・「不信のとき」

アクセス解析で過去7日分(8月23日~29日)の検索ワード/フレーズを見てみたら、集計対象51件中16件が、「不信のとき」がらみ。19日に「『不信のとき』は薮の中」(←原作の内容はこちら)という記事を書いたからですが、この検索、たぶんほとんど女性ですよねえ(^_^;) 

 不信のとき 無精子 4
 不信のとき 無精子症 3
 不信のとき 先天性無精子症 2
 不信のとき 2  
 ウーマンウォーズ 無精子 1
 不信のとき 精子 1
 不信のとき 先天性無精子 1
 不信のとき 道子 精子 原作 1
 有吉佐和子 不信のとき 先天性無精子 1

放送中のドラマは、今週からいよいよ佳境。原作は登場人物の名前に凝っていて、2人の「ミチコ」(道子、マチ子の本名:路子)、2人の和子(道子の義妹、マチ子の義妹)、2人の山川さん(マチ子の出産時の付添婦、浅井の入院時の付添婦)を配して、道子とマチ子の対称性、類似性を示唆していることは、前に書きました。ドラマには、義妹の和子たちが登場しない代わり、浅井家の家政婦兼ベビーシッターとして沖中和子(杉田かおる)が登場。その設定のおもしろさもコメント(K島さんへのレス)に書きましたが、先週の予告を見たら、ドラマの和子は浅井の入院時の山川さんの役も兼ねてるようなので、以後の展開がちょっと楽しみ・・・。

原作では、マチ子のアパートで激しい腹痛を起こした浅井がタクシーで帰宅し、道子と救急車に乗った後、ベビーシッターをしている住み込み看護婦と同居中の道子の母が、こんな会話をします。

「どこかで飲んでいて、急にさしこんできたのでしょうねえ」
「さあ、どうでしょう。大奥さん」
「え?」
「旦那さまはパンツをはいていらっしゃいませんでしたよ」
道子の母親は驚いて顔をあげ、中年の看護婦のぶきみな微笑の前で、たった今、運転手が百四十円と云ったことを思い出した。
「それ、どうぞ道子には云わないで下さい」
「申しませんとも」

ドラマでは、道子の母は同居せず、義雄の母(江波杏子)が出入りしてますが、先週の最後の方でトランクスの忘れ物が映ってたので、これを和子が義雄の母にいうか、ナレーションでいうかでしょうけど、世の男性諸兄にはお気をつけいただきたいと思います。

それにしても、タクシー代が「百四十円」というところには時代を感じます。「不信のとき」が『日本経済新聞』に連載されたのは、1967年1月~12月。原作では、マチ子のアパートは東中野、浅井の家は高円寺。電車なら2駅分ですが、この頃のタクシー初乗りっていくらだったんでしょう? 手持ちの『昭和家庭史年表』(1990年、河出書房新社)をめくったら、値段はわからなかったけど、こんな記載がありました。

昭和42年(1967)
7.3
 東京と大阪のタクシー、冷暖房割増料金制を実施。
8.18 非難浴び廃止。

昭和43年(1968)
6.- 東京都内のタクシーの半数1万6,000台がクーラー車となる。

それから、前に「1編の小説としては出産ラッシュ」と書いたときはうっかりしてましたが、文子(マチ子の子)、江美(マユミの子)、義道(道子の子)は、ヒノエウマ明けの第2次ベビーブーマーでした。ご存知ない方は、こちらを。

昭和41年(1966)
12.- ヒノエウマで出産数が136万人と今世紀最少。前年比25%(40万人)減、人口1,000人当りの出生率は13.7。一方、昭42年1月からのヒノエウマ明けの産院には予約が殺到。有名産院は5~6月まで予約でいっぱい。

マチ子の職業は、産休前がバー「ジョルダン」のホステス、産休後がクラブ「マントール」のホステスですが、こんな記載もありました。

昭和41年(1966)
この年
 バーやクラブが林立し、全国のホステスは35万人を突破。社用族天国といわれる。

有吉は、時代をつかみ、読者をつかむのが巧い作家でした。でも、「不信のとき」が舞台化(1969年1月、芸術座)されたときのパンフには、こんな「反省」を書いています。

「不信のとき」の読者には男性が圧倒的に多くて、これが小説の前半では殆ど狂喜し、後半に入ると憂色濃く熱中している様子は、女性である作者にとって書くことはまさに優越感そのものでした。私はその喜びに浸るあまり作中の男性登場人物をむやみと滅多打ちにして幕を閉じましたが、技術によって得た満足感が、今になってはそっくりそのまま反省になっています。
(「小説『不信のとき』について」)

これは、『新潮日本文学アルバム 有吉佐和子』(1995年5月)の小さい画像から判読したもの(目が痛い・・・)。有吉の「反省」は、技術に走って読者を簡単に湧かせすぎたということのようですが、それも有吉の才能、資質だろうと思います。

連載時の男性読者は、浅井や小柳に注目したんでしょうけど、今回のドラマは、「ウーマンウォーズ」というサブタイトルにしても、公式サイトのトップページ特別投票企画「あなたは道子派?それともマチ子派?」にしても、道子VSマチ子の「女の対決」に注目させるしくみ。でも、誰がおもしろいって、私は、原作にない狂言回しの沖中和子が一番だと思うんだけどなあ。

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