映画

2011年10月 2日 (日)

銀河鉄道の沿線風景

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昨日、エンゼルランドふくいのドームスクリーンで、KAGAYAスタジオの「銀河鉄道の夜」を見てきました。

敷地内や館内は親子連れ、子ども会らしき団体で賑わってましたが、スペースシアターは空いていて、初日初回は全員大人

銀河鉄道と沿線風景の描出をメインに、実際の星座との対応を紹介した約40分のプログラムでした。

ジョバンニがカムパネルラと銀河鉄道で旅をする(夢を見る)経緯は、はじめにナレーション(大場真人)で説明され、あとは風景に合わせて朗読(桑島法子)がボイスオーバー。

映像にジョバンニ、カムパネルラなどの人物は一切登場せず、原作のストーリーを把握するには欠落が多いので、銀河鉄道が走っているところ、車窓から見える風景ってこんなかも・・・という楽しみ方がいいみたい

一緒に行った二人も、原作は読んでいるので、

「ジョバンニがカムパネルラに憧れてたって?」
「えーっ!」
「あの石炭袋はあかんやろ! 空の孔じゃなくて、川の淀み」
「カムパネルラにはあそこにお母さんが見えるんだよね、って言ってなかったけど」
「死者が乗る汽車だって、ぜんぜんわかんないよね」
「だから、逆に読んでないほうがいいんじゃね?」

などと突っ込みどころいっぱいでしたが、それも含めて楽しめたし、音楽はかなり好みだったので、サウンドトラックCDを買いました。

なので、唯一残念だったのは、

「蠍の火が赤くなかった」
「りんどうの花も、紫じゃなくて白っぽかった」
「南十字も、青や橙の光でちりばめられてないし」

という上映館の発色の悪さ(スクリーンの素材、状態。光源の弱さ?)。

たまに座席が動いているように感じる画面の動き(停車中の電車に乗っていて、隣の電車が動いたときのような感じ)もおもしろかったし、発色のいいドームスクリーンで、もう一度見てみたいです。

2011年9月30日 (金)

「銀河鉄道の夜」

明日、見にいくプラネタリウム映画の予告編。

KAGAYAスタジオによる公式ホームページはこちら

プラネタリウムは久しぶりだし(前に行ったのは、池袋のサンシャインだったかな?)、映像がきれいなのも、声優の桑島法子さんが一人で演じ分けているのも、すごく楽しみ。

今週から今年度後期も始動して、ちょっと疲れ気味だけど、リフレッシュ(もう?)できるかなあ

2009年11月22日 (日)

『それから』

夏目漱石『それから』(1909年)を読み返したので、森田芳光監督の映画『それから』(1985年)をDVDで見てみました。

夏目漱石『それから』(岩波文庫) 

この文庫のカバーには、

三年まえ友人平岡への義侠心から自らの想いをたち切った代助は、いま愛するひと三千代をわが胸にとりもどそうと決意する。だが、「自然」にはかなっても人の掟にそむくこの愛に生きることは、二人が社会から追い放たれることを意味した。

とありますが、代助が「自らの想いをたち切った」と意識するのは、平岡と三千代が結婚した3年前ではなく、結婚後すぐ関西へ移った彼らが、平岡の失脚で東京に戻った3年後では?

5年前、親友・菅沼が示す「一種の意味」を認め、彼が田舎から呼び寄せた妹・三千代とも懇意になった代助は、菅沼の存命中、白百合を買って兄妹の家を訪ねます。

兄の死から半年後、代助の「周旋」で平岡と結婚した三千代も、東京に戻って2度目に代助の家を訪ねるとき、かつて誉められた銀杏返しに結い、白百合を買っていきます。

でも、代助は自分が白百合を買っていったことを忘れ、「そんな事があったようにも思って、仕方なしに苦笑した」ほど。

3年前の代助に、断ち切るほどの強い想いがあったとは思えません

子どもを亡くし、心臓を病み、平岡に愛されず、生活に苦しみ、「ただの昔の三千代よりは気の毒」な現在の三千代。

代助は、その三千代が記憶し、買ってきた白百合の甘く強い香りによって、後から作った「自然の昔」に帰ろうとし、ついには「僕は君より前から三千代さんを愛していたのだよ」「三千代さんをくれないか」と平岡に告白するに至ります。

「僕は君より前から」というのは、現在の代助がそう考えるようになったので、当時の代助は、三千代との関係より、菅沼や平岡との関係を優先していたはず。

だから、「自然の昔」は、「昔」にポイントがある時間的なものではなく、菅沼から代助へ、代助から平岡へ、友達の絆を強めるために三千代を「周旋」した、男社会の「文化」を離れた「自然」にポイントがあるもの。

三千代が白百合を提げてきた日、代助が再び白百合を買って三千代を呼ぶ日に、二人を社会から切り離すような雨が降っているのは、そうでなければ、「再現の昔」が作れないから・・・と思って読みました。

 森田芳光『それから』(東映ビデオ)

ところが、映画では、最初の白百合も三千代が買ったもの。

白百合を提げて帰る途中、雨に降られた銀杏返しの三千代に、ちょうど行き会った代助が傘を差しかけ、一つ傘の下で花弁に手を添えて香りを嗅ぐシーンは、代助の記憶にも残っています

この回想が挿まれるのは、平岡と三千代が泊っている旅館を代助が訪ね、夫婦の言い合う声を廊下で聞き、三千代と言葉を交わさず、平岡と一緒に外に出たあと。

後日、三千代が銀杏返しで白百合を提げてきたとき、代助が「そう傍で嗅いじゃいけない」と言い、三千代が「あなた、この花、お嫌いなの?」と聞くのは同じですが、そこにも上の回想のインサート・フラッシュが3回。

映画は、この回想シーンで実在した「自然の昔」を表していて、むしろ岩波文庫のカバーの紹介文に近い・・・という、前にテレビで見たときは、気づかなかったことに気づきました。

筒井ともみの脚本は、原作よりも女性(三千代と女性の観客)寄り。

のちに平岡に「周旋」したのは同じでも、忘れるような白百合を買ってくる男より、三千代が買った白百合に顔を寄せ、香りを嗅いだことを覚えている男のほうがよいわけで、その点では代助も不面目を免れています。

代助を演じた松田優作は、今月6日で没後20年(享年40)。

公開当時は36歳で、今更ながら、早世が惜しまれました。

2009年7月17日 (金)

「にごりえ」再読

今月に入ってから、今年2月に書いた「まちこ訳『にごりえ 一』」へのアクセスが増えてます。

昼間は ac.jp のリモートホストが多いから、レポートを書く学生さんみたい

で、「誤訳御免の・・・」とは言うものの、修正すべきところはしないとなあ・・・と思ってましたが、この週末に今井正監督、水木洋子・井手俊郎脚本の「にごりえ」(「十三夜」「大つごもり」「にごりえ」のオムニバス)を見る予習も兼ねて、今日しました。

原文を横にざっと読み返して、自分で「ここ、ちょっと変」と思った部分に手を入れただけですが、興味がおありの方は、カテゴリー「現代語訳」からご確認ください。

ところで・・・。

一葉が最後に住んだ本郷区丸山福山町の借家の隣が銘酒屋だったことは、明治28年1月執筆の「しのふくさ」(筑摩書房『樋口一葉全集』第3巻下では「感想・聞書」に分類)に、次のように出てきます。

となりに酒うる家あり 女子あまた居て客のとき(ぎ)をする事うたひめのこ(ご)とく遊びめに似たり つねに文かきて給はれとてわか(が)もとにもて来る ぬしハいつもかはりてそのかす(ず)はかりか(が)たし

少し前に古書サイトで買った映画「にごりえ」のシナリオ(『キネマ旬報』増刊、昭和28年8月)を見ると、語り手・一葉の声として、上の「しのふくさ」の「となりに」を「七月二日。新開の町、通りに」と替えて使用。

その後が、「おい木村さん信さん、寄っておいでよ」という原作冒頭の場面で、お高とお照以外の朋輩に名前がない原作と違って、女主人(お八重)や他の朋輩(お秋、たね、きよ)にも名前とせりふがあり、原作にはない店の主人の藤兵衛も登場します。

※ お照は、「照ちゃん高さん少し頼むよ」というお力のせりふのみ。

そうしなければ映画にならないという面もありそうですが、お高以外の朋輩は後景化され、声の主も区別されない原作に対して、シナリオでは「女子あまた居て」という中のお力の印象が強く、それをねらってもいるよう。

それに、帳場に座って金を勘定し、上客の朝之助にはわざわざ出てきて挨拶する藤兵衛がいることで、この手の商売は、男が女を働かせて他の男から金を取るもの、という視点も加えられているよう(バックにいる入墨の親方や子分も登場するし)。

違う部分はいろいろあって、大きいところでは、原作の「五」の後半、お力が座敷から抜け出した後の場面がカット・変更され、「六」の朝之助と二人の場面では、「三代続いた出来損ない」というお力のせりふはあるのに、祖父の話は出てきません

原作には、横町の闇の中で「仕方がないやつぱり私も丸木橋をば渡らずはなるまい」と決意するお力の長い内言語があって、祖父・父・自分と続く「人並みでは無い」生き方を選ぶお力の、人の顔が小さく遠く見え、自分の踏む土だけが3mも盛り上がっている気がするという孤絶感の表現が圧巻。

シナリオでは、座敷を抜け出したお力が、盆の晴れ着の子どもたちに「あ、鬼」「鬼姉さん」と言われ、縁日の雑踏の中で仲良く金魚すくいをする若夫婦を離れたところからぼんやり眺め、ふと我に返ったところで朝之助に出くわします。

お力の子ども時代とは違う恵まれた子どもたちと、酌婦で独り身のお力とは違う幸せそうな若夫婦は、お力が生きることができなかった/できない「人並み」の生き方を体現したもの。

なので、お力が「丸木橋」を渡ることはどういうことか、こういう形で解釈してみせたともいえそうですが、このあたりもDVDで見てみたいところです。

「明治は遠くなりにけり」の戦後映画を「昭和は遠くなりにけり」のいま見ると、どう遠くて近いのか。

早く見たいけど、その前に片づけないといけない仕事が山積みなので、まずはそっちから。

 独立プロ名画特選「にごりえ」/1953年公開

2009年6月 9日 (火)

「火垂るの墓」など

1週間以上、空いてしまいました

 先週読んだのは、野坂昭如「火垂るの墓」。

高畑勲監督のアニメは、昭和20年9月21日、三宮駅構内で死んだ清太の霊が、6月5日の神戸大空襲から8月22日の妹・節子の死、翌日の荼毘までを回想し、現代の(1988年公開なので、震災前の)神戸を節子の霊と一緒に見ている・・・という構成。

アニメもよいけど、原作のどこか対象(清太の行為)を突き放した饒舌な語りが、個人的には好きかなあ。

アニメのほうは、子どもを使った反戦映画・・・と思って、実は今まで見てませんでしたが、高畑勲が「じつは私は反戦のメッセージを伝えようということでこの映画を作ったわけではないのです」(『映画を作りながら考えたこと』)と述べていたことも、遅ればせながら知りました。

それから、やはり野坂の『赫奕(かくやく)たる逆光 』(文春文庫)を読んで、「空襲で、家族すべてを、一時に失った如く、これまで書いてきたが、実は、養母とこと(養父の養母の名)は、しばらく生きていた」ことや、「二十一日の夕刻、ぼくの二番目の妹、恵子が疎開というより、生命からがら落ちのびた福井県の、戦争のほとんどかげのささぬ、静かな村で餓死した」ことも。

「火垂るの墓」の清太と節子は、空襲で大火傷を負った母の死後、西宮の「父の従弟の嫁の実家」という「遠い親戚」に身を寄せ、1ヵ月後に満池谷の横穴の壕に移りますが、野坂がともに養子である妹・恵子と避難したのは、現在の福井県坂井市春江町。

7月31日の夜、野荒しの途中で警報が鳴って傍の壕に待避した農夫に捕まり、清太が交番へ連れて行かれる場面で、いきり立つ農夫をなだめるおまわりさんが「今夜の空襲福井らしいなあ」と言ってますが、福井の空襲は7月19日で、「らしい」がみそ。

・・・と書いて、春江町を舞台にした津村節子の『絹扇』、3月に読んだのにいろいろ取り紛れて、ブログに書きそびれたのを思い出しました。

 著者サイン入り

近代日本の絹織物業を背景にした作品ですが、女工哀史ではなく、有職女性のたくましさが描かれていて、しょっちゅう仕事(というより職場)が嫌になる私など、主人公の爪の垢を煎じて飲むべきかも・・・という内容。

話を戻して、神戸大空襲については、神戸市の「神戸の戦災」というサイトや神戸市文書館の「米軍資料にみる神戸大空襲」というサイトも見ましたが、ちょうど電話で話した遠くの親友に「URL、教えてよ」と言われたので、リンクを貼っておきます。

先々週からの多形日光疹は、手の甲はほとんど治りましたが、額(髪の生え際とか眉の上)がなかなかしつこいので、新しい薬を買ってきました。

「火垂るの墓」に、「湿疹」「疥癬」「虱」と出てくるたび、痒くなって困りました・・・。

2008年8月24日 (日)

「SATC」見ました

23日公開の映画「SEX AND THE CITY」を見てきました

Sex_and_the_city1998~2004年にアメリカで全6シーズン(全94話)にわたって放送されたドラマの、「4年後」の設定の映画化。

冒頭、キャリー、サマンサ、シャーロット、ミランダの4人の過去と現在が簡単に紹介されますが、やはりドラマを見ていたほうが何倍も楽しめます。

というか、ドラマ見てない人には、映像やファッションの美しさはともかく、登場人物の関係がちょっとわかりにくいかも・・・。

まだの方は、急いで予習してからご覧になることをおススメします

ストーリーについては、あまり書いてしまうと、これから見る方に申し訳ないので、4人それぞれのトピックスだけ。

ドラマの6年間、ビッグとくっついたり離れたりを繰り返したキャリーは、その後の4年間は順調で、ビッグが買ったペントハウスでの同居に法的根拠を持たせるため、ついに結婚することに・・・

でも、式の直前に問題発生。

先日、ドラマの一挙放送を見た遠くの親友が、「ああいう男はなおらない」と言ってましたが、やっぱりそうみたい

サマンサは、彼女がPRを助け、乳がんのときには逆に助けられた年下の恋人スミス(俳優)の仕事の関係でLAに転居し、彼のマネージメントを担当。

私生活でも彼に尽くすいっぽう、飛行機でNYに戻ってはキャリーたちと会ってますが・・・。

サマンサがサマンサでなかったら長続きしたんだろうけど、最後の決断は彼女らしいものでした

ミランダは、弁護士の仕事と夫、息子、認知症の義母の家庭との板挟みで、家政婦のマグダがいても疲労困憊。

半年以上セックスレスでいたところ、夫スティーブから浮気したと告白されます。

息子をつれて別居したミランダですが、キャリーとビッグの式前夜のパーティーで、「結婚なんて最悪!」とビッグに言ってしまったことが、翌日のビッグの不安を増幅。

そして、中国から養女を迎えたシャーロットは、映画の後半、諦めていた夫ハリーの子を自然妊娠。

臨月のお腹でランチを食べに行った店でビッグに出くわし、キャリーを傷つけた怒りをぶちまけます。

でも、その最中に破水し、ビッグに病院に運ばれたことで、キャリーとの仲直りにしっかり貢献。

全体の流れは、キャリーとビッグの結婚にミランダとシャーロットが絡み、当初の豪華な結婚式は流れますが、最終的にはふたりだけで質素に市役所で結婚・・・というもの。

そのキャリーとひとりNYに帰ってきたサマンサが対照的なようで、実はどちらも自分の意思に忠実で傷つくことをいとわないところ、やっぱり「SATC」でした

2008年1月 6日 (日)

「外科室」とファム・ファタール

休み中、雪の日が多かったので、生来のインドア志向のまま、ほとんど引きこもっていましたが、昨日あたりから、そろそろ仕事の準備もしないとなあ・・・とは思ってました。

でも、これだけ休むと気が進まないので、泉鏡花の「外科室」(明治28年)を現代語訳したり、森鴎外の「カズイスチカ」「妄想」を読んだりしてました。

「外科室」は1992年に映画化されていて、監督は坂東玉三郎。貴船伯爵夫人に吉永小百合、医学士高峰に加藤雅也、高峰の親友で語り手の画家に中井貴一という配役で、50分の短編ですが、さすが玉三郎という美しい作品です。

植物園の赤い躑躅と琴の音色に囲まれた非日常的空間で出会い、言葉も交わさずに別れた9年後、患者と執刀医として、手術室という非日常的空間で再会する夫人と高峰。

出会ったときの夫人は、原作では銀杏髷の独身ですが、映画では丸髷の若妻として登場するので、当時の身分制や家父長制を思い出さなくても、道ならぬ恋になってます。

原作で好きなのは、凛とした夫人の姿を支える外面=白、内面=赤の「雪の寒紅梅」的色づかいと、「躑躅」の赤との比較。

それと、商人風の若者二人が、彼女の美を絶賛したあげくに「私は遁げるよ」という部分。

まるで落語の登場人物のような吉さんたちの会話ですが、これがなければ、ファム・ファタール(宿命の女、男を破滅に導く女)としての夫人が弱くなってしまうし。

映画で好きなのは、赤い躑躅と琴の音色が作る空間と、池を挟んで夫人と高峰が見つめあう場面。

画面の中央を大きく占め、夫人の立ち姿を写した池は、二人の恋の障害を象徴し、夫人の内面を写す鏡にもなっていて、ほれぼれします(#^.^#)

と、以前見た記憶で書いてますが、原作を現代語訳して、また映画も見てみようかなあ・・・と思いました。

 ←中古ビデオを持ってます

何年か前に、今泉容子『日本シネマの女たち』(ちくま新書)という本を読みましたが、それによれば、ファム・ファタールの要件は以下の3つ。

  1. 非日常
  2. エロス

非日常的な空間で出会い、その魅力で男を惹きつけ、ついには死をもたらす女というわけですが、映画ではサスペンスやパニックなどジャンルを問わず、よく登場しますよね?

たとえば、『タイタニック』のローズ。

ディカプリオ扮するジャックは、超豪華客船で彼女と出会って恋におち、彼女を助けるために死んでしまうから。

ローズがジャックの死後もたくましく生き、孫もいるリッチなおばあさんになってたのは、貴船伯爵夫人と大違いですが^_^;

ファム・ファタールもいろいろですが、その一人、貴船伯爵夫人が登場する「外科室」のまちこ訳は、こちらから。

2007年9月 9日 (日)

『博士の愛した数式』の「29歳」

土曜にWOWOWで、小泉堯史監督の映画『博士の愛した数式』(2006年)をやってたので録画。4年前に読んだ小川洋子の『博士の愛した数式』(新潮社、2003年)を再読した後、映画を見ました。

←新潮文庫   ←DVD

以下、まちこAとまちこBの一問一答。

A:映画、どうだった?
B:原作にある静謐な美しさを信州・上田の風景でバックアップしてるのは、ちょっと禁則。語り手は、家政婦の「私」から数学教師をしている29歳のルートに変更。原作では、「私」が高3で妊娠したルートが10歳だから、語り手の年齢は同じ。嫂と義弟の関係は、原作より踏み込んでたよ。

A:原作の舞台は?
B:瀬戸内海に面した小さな町。博士が記憶障害になった国道2号線の交通事故が、新聞の地域版に載るところ。町の球場の対広島戦で、博士やルートと同じ阪神ファンの方が多いから、たぶん岡山。最後に博士が入所した施設も、町の中心からバスで40分の距離。

A:映画の舞台が違うのは?
B:岡山の瀬戸内海沿いって、他の監督が使ってるからかなあ? 映画の舞台は、語りの現在時が窓から海が見える学校、ルートの少年時代は山に囲まれた町。大人になったルートが博士と海辺でキャッチボールする場面はモノクロで、博士と最後に会ったときだろうけど、説明がなくてわかりにくいかも。

A:映画の博士も、海が見える施設に入所した?
B:終盤、嫂が家政婦に、博士との過去(義弟の子を産む勇気がなくて中絶した。自分が誘った薪能の帰りの事故だった)を告白し、今後の博士の世話は「あなたにすべてお任せします」と言うのは、原作と違うところ。だから、入所したかどうかははっきりしないけど、嫂が心を開いた後だから、解放感のある海辺を背景に。

A:原作には、嫂の中絶や薪能は出てこないよね?
B:野球カードが入った缶の底から、一緒に撮った若い頃の写真と、表紙に「永遠に愛するNへ捧ぐ あなたが忘れてはならない者より」と書かれた博士が29歳のときの論文が出てくる。それと、博士が施設に入るとき、「義弟は、あなたを覚えることは一生できません。けれど私のことは、一生忘れません」ってだけ。

A:小説で、嫂と義弟といえば・・・。
B:漱石を代表として、綿々と。だから、小説では、主題がそっちにぶれないように踏み込んでないんだと思う。浅丘ルリ子の嫂は、記憶が止まった義弟に対して薪能の面や炎のように妖しい感じがあって、ルートを慈しんでるときの博士を凝視する目が怖かったー。

A:寺尾聰の博士は?
B:いい感じで枯れてたのに、投球フォームが色っぽい(^_^;) 昔、博士も野球をしてたという原作と違う設定で、ルートの少年野球チームの練習を手伝ってたのは違和感があった。背広のメモは数が足りなかった。

A:深津絵里の家政婦さんは?
B:かわいくて、いい感じ。野田秀樹演出の舞台をいくつか見たけど、若い頃からうまかった。

A:ルートは?
B:29歳のルートが吉岡秀隆なら、少年時代のルートは齋藤隆成くんしかいない。ルートに対して博士がそうだったように、いい先生になってるし、孤島に行ってもやれる。

A:小説と映画、どっちが好き?
B:映画は、嫂と博士の過去を具体的にして、「わたくしは罪深い女ですから」と語らせた点で俗っぽくなった気がする。対象・作り手・表現方法も違う別物だけど、どっちかといえば、小説。

A:面白かった点は?
B:原作の家政婦の登場時の年齢、博士が缶の底に隠した論文を書いた年齢が29歳で、映画の語り手のルートも29歳というところ。

A:どうして?
B:完全数28に1を足すと素数29。29歳の博士にとって、1は嫂で、世間的には不義な関係。家政婦にとって、1はルートで、世間的には未婚の母。でも、完全数28より素数29の方が、彼らの自然な生き方だった。29歳の数学教師が生徒に素数を説明するとき、黒板に『素直』って書いてたし・・って変?

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