称念寺
2020年のNHK大河ドラマが、明智光秀を主人公とした「麒麟がくる」(主演:長谷川博己)に決まったそう。
4日の地方紙に、その光秀が前半生を過ごした地として、称念寺(坂井市)や一乗谷朝倉氏遺跡(福井市)が紹介されていたのを見て、称念寺に出かけました
新田義貞墓所や芭蕉句碑があることは知っていましたが、行くのは初めて。
左には「時宗 長林山 称念寺」、右には「史跡 新田義貞公墓所」の文字。
「左近衛中将新田義貞公贈位碑」の上2字が欠けているのは、上部が割れ落ちたからのよう(後ろに置かれていました)。
本堂前の案内板を読み、石段を上ると、住職が書かれた小冊子が置かれていました。
『明智光秀公と時衆・称念寺』、『松尾芭蕉翁と時衆・称念寺―黒髪伝説を通して―』の2冊を各300円で購入。
墓石は義貞公五百回忌に福井藩主松平宗矩が建立した五輪石塔で、旧墓石はその下に埋められているそう。
「月さびよ明智が妻のはなしせむ」の新旧の芭蕉句碑と、その案内板。
案内板には、光秀が弘治2年(1556)に斎藤義龍の大軍に敗れ、家族とともに称念寺に逃れてからのことが書かれていますが、小冊子にはそれ以前のことも書かれていました。
- 光秀は、享禄元年(1528)、美濃国明智城主明智光綱の子として生まれた。
- 父光綱の死後、姑と仲が悪かった母小牧は離縁され、腰元の竹川が小浜の西福庵の庵主である叔母を頼り、小牧と生後まもない光秀も身を寄せた。
- 西福庵には、本寺である称念寺から薗阿(えんな)上人が行き来しており、光秀も薗阿上人から学問を授けられることがあった。
- 天文9年(1540)に京に上り、足利義晴の側人細川藤孝に仕えた。
- 天文12年(1543)に元服した光秀は、ようやく明智城に帰ることができ、やがて妻木城主の娘熙子(ひろこ)と結婚した。
また、称念寺に逃れた理由、称念寺時代についても、
- 称念寺は、幼い頃に世話になった薗阿上人のもとであり、「無縁所」と言われる武力や権力の及ばない安全地帯だった。
- 薗阿上人の勧めで、門前で寺子屋を開き、浪人生活を始めた。娘のお玉(のちの細川ガラシャ)は、この称念寺時代に生まれた。
- 当時の称念寺は北国街道に面し、遊行する時宗の僧、日本海交易に携わる者から、居ながらにして全国の情報を得ることができた。
- 時宗の僧には、連歌や茶道など室町文化を支えた者が多く、光秀もここで基礎を習得することができた。
- 薗阿上人の推挙で、一乗谷の朝倉義景に仕官の口を得ることができた。
- 朝倉家重臣との連歌の会を催す際、妻の熙子が黒髪を売って資金を得たことが、「黒髪伝説」として近辺に語り伝えられ、『奥の細道』の旅で芭蕉の知るところとなった。
と解説(典拠は、『明智軍記』と称念寺の言い伝え、『遊行三十一祖京畿御修行記』とのこと)。
ドラマでは、朝倉義景、足利義昭、織田信長に仕え、本能寺の変を起こす後半生もですが、不明な点が多いと言われる前半生がどう描かれるのかも楽しみです。
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称念寺のホームページは、こちら
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初めまして!はじめてコメントさせていただきます。明智光秀を長谷川博己さんが演じるということで、かなりイケメンの若い光秀公になりそうですね。確か、軍師官兵衛の時は春風亭小朝さんだったような。調べてみると、五木ひろしさんも光秀役を大河で演じたことがあるようですね。
投稿: sho-1 | 2018年5月 7日 (月) 11:06
>sho-1さん
コメントありがとうございます^^
私は、「江―姫君たちの戦国―」の市村正親さんが印象に残ってます。
信長から虐げられつづけ、ついに・・・という演技が。
光秀は、これまで何度も脇役で中年になってから登場していますが、
今度は少年時代から描かれるでしょうし、長谷川博己さんのイケメン光秀公も楽しみです。
投稿: まちこ | 2018年5月 7日 (月) 22:03
まちこさんの越前の旅の話は、いつもすてきで読み応えがあります。
「陰謀の日本中世史」に、本能寺の変の明智光秀には黒幕がいたか、という章がありました。
著者の呉座勇一氏は「いない。単独革新犯。黒幕説は光秀に失礼」というものでした。
なかなかの武将だったのですね。
投稿: こはる | 2018年5月10日 (木) 21:36
>こはるさん
新聞に、一乗谷時代に5年あまり住んだという福井市東大味町の明智神社も紹介されていました。
信長による一乗谷焼き討ちの際、地区が戦火を免れたのは光秀のおかげと、3軒の農家が光秀の木像を守り続け(逆臣とされたため公にできず)、明治19年(1886)にようやく建てられた神社だそう。
出かけたら、また記事にしますね。
投稿: まちこ | 2018年5月11日 (金) 01:40
楽しみにしています。
「革新犯」ではなく、「確信犯」でした。失礼しました。
投稿: こはる | 2018年5月11日 (金) 16:38