A・ジョリーの手術
先週、TVと新聞で知ったアンジェリーナ・ジョリーのニュース。
日本より遺伝子検査が進んでいて、乳がん罹患率が高いアメリカでは、予防的乳房切除や予防的ホルモン療法も行われていることは知っていました。
だから、ニュース自体には驚きませんでしたが、どんな手術だったのか知りたくて、週末、彼女の「My Medical Choice」を読むことに。
知りたかったのは、次の2点。
- 「乳房切除」と報じられているけれど、「乳頭乳輪温存皮下乳腺切除」では?
- 「乳房再建」は自家組織で? それとも、インプラントで?
要するに、発症前と発症後、両側と片側という違いはあっても、手術は私と同じ?・・・と思ったわけです
ただし、2.については、日本のTV・新聞では、最初の頃こそはっきりしませんでしたが、「My Medical Choice」を読む時点では、インプラント再建と報じられていました。
以下は、手術に関する部分。
My own process began on Feb. 2 with a procedure known as a “nipple delay,” which rules out disease in the breast ducts behind the nipple and draws extra blood flow to the area. This causes some pain and a lot of bruising, but it increases the chance of saving the nipple.
Two weeks later I had the major surgery, where the breast tissue is removed and temporary fillers are put in place. The operation can take eight hours. You wake up with drain tubes and expanders in your breasts. It does feel like a scene out of a science-fiction film. But days after surgery you can be back to a normal life.
Nine weeks later, the final surgery is completed with the reconstruction of the breasts with an implant. There have been many advances in this procedure in the last few years, and the results can be beautiful.
これによれば、彼女の手術のスタートは、2月2日に行われた「nipple delay」から。
日本語では何というのか知りませんが、「これは少しの痛みと多くの内出血を起こすが、乳頭を温存する可能性を高める」とあるので、術後の乳頭壊死を防ぐため、乳頭直下を先に切っておくことで、血流をよくする処置?
と想像していたら、「Angelina Jolie’s ‘Nipple Delay’ Procedure, Explained」という記事に、やはりそんなことが書かれていました(アメリカでも、これを行うのは稀とのこと)。
私は、術中に乳頭直下の迅速病理検査を受け、断端にがんがないことを確認していますが、本手術とは別の日に「nipple delay」らしい処置を受けたという人は知りません。
ただ、皮下乳腺切除では、手術により乳頭への血流が一時途絶えるので、術後の乳頭壊死が案外多く、私の場合も懸念される時期がありました。
それで入院日数も延びたし、術後4ヵ月(2011年9月)の時点でも、先生とこんな話をしています。
「壊死のおそれって、まだありますか?」
「週末の学会で再建の発表も聞いてきたけど、術後の乳頭壊死は思ってたより多いね。ある施設では、壊死があった5名のうち、3名が喫煙者。他の要因としては、痩せ型、皮膚に血管が浮いて見える人、乳輪の縁から手術した場合・・・」
「血管が見える?」
「○○さんもそうだけど、血行不全になりやすい。入れ替えのとき、ほかの部分を切って調整するかもしれないから、そこからの血流が途絶えたら・・・」
ともあれ、彼女自身も文中で「mastectomy」(乳房切除)の語を使っていますが、実際に行ったのは「乳頭乳輪温存皮下乳腺切除」ということで、知りたかったことは解決
その手術は、「nipple delay」の2週間後に8時間かけて行われ、目覚めたときには、胸にエキスパンダーが入り、ドレーンも出ていて、SF映画のワンシーンのように感じたそう。
で、その9週間後には、最終手術としてインプラントへの入れ替えを行い、美しい乳房の再建が終了。
その間のことは、あまり書かれていませんが、皮膚の下ぎりぎりまで脂肪と乳腺組織を切除し、剥離した胸筋を持ち上げて、その下に挿入したエキスパンダーを徐々に膨らませ、インプラントに入れ替えるスペースを作ったのは同じだと思われます。
違うのは、エキスパンダーの挿入期間が、彼女はわずか9週間、私は6ヵ月半と長かったこと。
発症後の手術でも、温存した皮膚に余裕があれば、エキスパンダーを使わずにインプラントを挿入する先生もいらっしゃるくらいだし、発症前の彼女の場合、それだけ余裕があったのかも・・・なんて思いました。
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