「ブランケット・キャッツ」
子猫の頃からなじんだ毛布付きで、2泊3日で貸し出されるレンタル猫の話。
というと、「動物を貸し出すなんて・・・」と読む前から不快になる方もいらっしゃるかと思います
全7話の構成ですが、どんな人がどんな猫を借りているかというと、
- 共働きで子どもがなく、二人で住むには少し広い郊外の分譲マンションで、小ぎれいに暮らす40代夫婦/1歳の三毛猫
- 離婚歴3回で末期がんを患い、長年勤めた小さな会社の運転資金を横領して、旅行に出る50代女性/いったんレンタル猫を引退していた12歳の黒のメインクーン
- 息子がいじめられていないか気にする父親、のんきな母親のもとで、いじめの主犯格になってしまった中学1年生/尻尾のないマンクス
- 家に来たあと施設に入る祖母のために、3ヵ月前に12歳で亡くなった飼い猫の代役を探す四人家族/6歳のブラウンクラシック・タビーのアメリカン・ショートヘア
- レンタル猫を使ってペット禁止の規則を破る入居者を探す賃貸マンションで、子猫を拾った派遣社員の彼女と同居するため、その子猫と大家が借りる猫を馴れさせておこうとする25歳フリーター/6歳の雑種
- 香水ぷんぷんの女性の借主のもとから逃亡し、離婚・再婚した父のもとから家出した兄妹に同行/6歳のブラウンクラシック・タビーのアメリカン・ショートヘア
- リストラでローン残金が払えなくなった築10年の一戸建てを手放す前に、娘や息子に思い出をつくってやろうとする求職中の40代の父/ロシアン・ブルー
という具合。
「文庫版のためのあとがき」で、作者自ら、「『桃太郎』や『かぐや姫』と似た設定」、「日常生活の中に、突然『異物』が入ってきてドラマが生まれる」と述べているように、それぞれの登場人物たちに、何かを感じさせ、残していくレンタル猫たち。
動物と暮らしたことのある人なら、その5年、10年、15年、20年で多くの思い出があっても、やっぱり短く、貴重な時間だったと感じるのでは・・・と思うし、その圧縮した感じが「2泊3日」だと思えば、動物愛護家の皆さんにも受け入れ可能な設定かと思います。
だいたい、桃太郎もかぐや姫もあっという間に成長してるし、人間以外のものから生まれた異類なのに、家族の一員として暮らすところは、現在の犬や猫と同じ
でも、ここは猫じゃないとお話にならないし、「桃太郎」や「かぐや姫」やその他のおとぎ話より、健全で明るいお話を読んじゃった・・・という印象でした。
コメント
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レンタルする人の設定がおもしろいですね。
それに、子猫のころからなじんだ毛布付きっていうのがいい!
一度読んでみたいです
投稿: ゆう | 2011年9月21日 (水) 15:05
全体としては、子ども、友、自分自身、ペット、旅、大事な思い出と、人間にとっていろいろな役割を果たす猫を背景にした人間の物語です。
よかったら、読んでみてくださいね
投稿: まちこ | 2011年9月21日 (水) 23:32