灰色の世界
「どうしてた?」
「えっと、PCで『銀河英雄伝説』見てた」
「アニメ?」
「うん!」
で始まった昨日の電話で話したこと。
「こないだ言ってたセカンドオピニオンどうするの?」
「17日に行ったときに確認してから。私が言われた異型乳管増殖症って異型乳管過形成(ADH)らしくて、前がん病変っていうけど、経過観察の病院もあるみたい。非浸潤性乳管がんと判別が難しい、微小な低悪性度のがんって書いてるのもあるし。切るときはマージンつけるから、3cmとかになるのかな」
「それで?」
「ブログとか見ると、セカンドでシロ(良性病変)になってる人もいるし、グレーならグレーでどういうグレーか、ちゃんと聞こうと思って。で、無料で読める病理の論文をサイニイ(CiNii)で拾い読みしてる」
「うん」
「こないだ聞ければよかったんだけど、患者は多いし、もう一回聞こうと思ったら、カンファレンスに行っちゃったし。だから、ちゃんと聞いてみて、セカンドしたほうがいいと思ったらする。もしクロでも、ちょっとくらい手術が延びるのは怖くないし」
「そっか」
「患者といえば、外来でも夫とか付き添ってる人も多いけど、バカな男がいてさ。中待合で足投げ出して、『どうせ切るんだろう?』とか大声で言って、『まだ決まってないのに・・・』って妻泣かせてんの。皆に聞こえてるのに、すごい迷惑!ムカついたー!」
* * * * *
入院中の楽しみにするつもりだった『銀英伝』は、一昨日の夜から見始めて、もう第27話/全110話なので、入院前に余裕で見終わりそう
で、中城ふみ子の本を読もうかなあ・・・と思ってます。
まだ買ってませんが、『乳房喪失』(『短歌研究』編集長だった中井英夫が付けた題名)と『花の原型』の2歌集と中井との往復書簡を収めたもの。
読もうと思ったきっかけは、今月上旬に読んだこの本。
若月彰『乳房よ永遠なれ』やその映画化でスキャンダラスに取り沙汰され、渡辺淳一『冬の花火』のモデルにもなったふみ子の、歌人・女性としての「誇り高さ」を丁寧に描いた評伝でした。
「誇り高さ」が「愛らしさ」と同義に感じられたのは、ふみ子をいとおしむ年上の同性の眼のためだと思いましたが、上の『歌集』の編者は違ってそう。
『夭折の歌人』によれば、編者は、ふみ子が「病室に監禁されながら、ひそかに美しい悪意を育んだ。悪意とは何か。彼女の棲む灰色の世界に男たちを招き寄せ、たぶらかし、狂わせ、徹底的献身を誓わせることである」(「憎しみの花・中城ふみ子」)と書いている人。
この引用を読む限り、「どこが悪意? いいじゃない?」と思いましたが、ふみ子の歌も往復書簡も、自分で読み直してみたいので、買っておこうかな・・・と思います。
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