有吉佐和子的人生
前半は「林芙美子の旅」、後半は「有吉佐和子的人生」という構成で、帯のコピーは「〈早熟の女流〉という宿命を生きたふたりの作家、林芙美子と有吉佐和子をとおして見えてくる、それぞれの昭和と昭和」。
今日読んだのは、その後半。1984年に53歳で急逝した有吉の「中年期」を描くのに、『有吉佐和子の中国レポート』(1978年)と『女二人のニューギニア』(1968年)を主な題材とした点は、研究者ではない作家の慧眼を感じました。
20~30代で代表作といわれる「物語」的小説を次々と書きながら、業界内での評価に恵まれず、40代以降は「社会」的小説に手を広げるいっぽう、短気や奇行(「笑っていいとも!」の番組ジャックが有名)が目立った有吉の「中年期」。
途中、「加齢」という説明=コンセプトに頼りすぎ(^_^;)・・・とは思いましたが、結論部分には賛成でした。
有吉佐和子は「女流」という言葉を生み出すシステムとよく戦った。みずからの早熟さという宿命と善戦した。しかし五十三歳の晩夏の一夜、ついに燃え尽きた。
生前刊行された『有吉佐和子選集』はとうに絶版で、販売中の文庫本も減ってますが、有吉の作品について何度かブログに書いていると、「助左衛門四代記の論文」なんてワード検索で訪問される方もいて(卒論で?)、そろそろ『全集』が出ないかなあ・・・と思ったりしています。
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