師走の語源
会議やイベント、打ち合わせが立て込んで、なんとなく気ぜわしい今週。テレビやラジオで「明日から師走」「今日から師走」と言うのを聞いていて、ほかの月の異名は、どれもそれなりに雅やかなのに、なんで12月は「師走」なんだろう? と思いました。
うちにある『日本国語大辞典』(縮刷版第1版)で、語源説を見てみると・・・。
- 経をあげるために師僧が東西を馳せ走る月であるところから、シハセ(師馳)の義。
- 四季の果てる月であるところから、シハツ(四極)月の意。
- トシハツルの義。
- ナシハツルツキ(成終月)の略転。
- 農事が終わり、調貢の新殼をシネハツル(歛果)月であるところから。
- 稲のない田のさまをいうシヒアスの約。シは発声の助語。ヒアスは干令残の義。
- シヲヘオサメヅキ(為竟収月)の義。
- セハシの義。
- シバシ(暫)の月の義。
「師走」は陰暦12月の異名ですが、新聞を見ると、今日は旧暦10月11日。陰暦と旧暦は、厳密には同じではないようですが、「師走」の声に急かされるより、旧暦神無月のほうが気分だけでも落ち着きます。
ついでに、「師走」を使った熟語を見てみると、師走油、師走市、師走女、師走風、師走狐、師走気、師走業、師走女郎、師走大、師走機、師走比丘尼、師走日和、師走紅、師走坊主、師走祭・・・と知らない語がほとんど。
師走女は、「年の暮れになってなりふりかまわず働く女。転じて、ろくに化粧もしないで、みっともないなりをしている女」。師走坊主は、「(年の暮れはだれもが忙しくて坊主は相手にされず、施し物もないところから)姿のやつれたみすぼらしい坊主、またその様子の者や、無用の者をたとえていう」。
師走女になるのは困るけど、お坊さんについても、年の暮れに走る師僧から誰にも相手にされない師走坊主まで、あれこれいらっしゃったよう。どうせ走るなら、美貌・美声のお坊さんに、優雅に走っていただきたいものです。
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