『空飛び猫』の親子
仕事がたまってきてるので、昨日は帰宅後も、夜中の3時まで夕食とお風呂以外はずーっとPCの前。やってたことは2つ。1つは来週以降の会議にかけて外部に提出するもの2種類、1つは職場のサイトにアップするデータの打ち込み。メドが立ってきたので、ちょっと楽になりました。
というわけで、就眠前に読んだのが、アーシュラ・K・ル・グウィンの『空飛び猫』。村上春樹訳で、猫の体や表情をよく捉えた絵はS・D・シンドラー。買ったのは文庫版ですが、絵本なので文庫じゃないほうを買えばよかったかも。
表紙は、ジェーン・タビーお母さんが産んだ翼を持った4匹の子猫たち。帯で隠れてますが、森の木の枝に仲よく止まってます。
で、この物語の魅力は、まず、このお母さんが聡明でカッコいいこと。
「(略) お前たちにはもう用意が出来ていると思います。おいしい夕御飯をみんなでいただきましょう。そして飛んでいきなさい。ずっと遠くまで」
子猫たちが翼を持って生まれた理由に気づき、その幸せを考え、自立を促すお母さん。と同時に、このお母さんは自分の幸せも考えていて、それをはっきりと口にします。
「私はここで生きていきます。ゆうべトム・ジョーンズさんが私に、結婚の申しこみをしました。私はその申しこみを受けるつもりです。そうなると、子供達は邪魔になるのです」
ジェーン・タビーお母さんと4匹の子猫たちは、街のゴミ捨て場に生きるノラ。『空飛び猫』は、彼らが互いへの愛情を持ちつつ、さみしくも誇らしげに親離れ・子離れするところから始まりますが、「猫は、どういうわけか、人間にとってたましいの顕現となりやすい」(河合隼雄『猫だましい』)というように、人間の親子関係や子どもの成長にも通じる物語。パセリが人間なら、たぶん一緒に読んでます(^_^;)
テレビでも、野性動物の子育てや親離れ・子離れが取り上げられることがありますが、本来は母猫と兄弟姉妹からなる「家族」で暮らし、やがて独立していくネコ(「群」で暮らすライオンは例外)にとって、飼い猫と人間の関係は、母猫との暮らしが一生続くようなもの。
だから、飼い猫にはいつまでも子猫のようなところがありますが、ジェーン・タビーお母さんの愛情や子育て、街を出た子猫たちの行動や心の拠り所としての母猫の存在を考えると、里親としての自分も省みられました。
ジェーン・タビーお母さんが、子猫たちを産む前に「空を飛んでこの町を出ていく夢」を見たように、私もミントが亡くなる前、マンションのベランダから飛んでいく夢を見たことも思い出しました。
私はいい里親だったろうかという思い、うちに来てくれてありがとうという思いは今もありますが、私やパセリより一足早く飛んでいったミントの子猫時代をありありと思い出したという点では、愛猫を亡くされた方にもお勧めしたい1冊・・・。
著者ル・グウィンの献辞は、「これまで私が愛したすべての猫たちに」というもの。これを読んで注文した続編3冊が届くのも楽しみです。
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