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2006年6月11日 (日)

また読みたい小説

AriyosiGWの前後に在日米軍再編のニュースを目にしてから、読み直したい小説が2冊。前に、ベストセラーは読まないみたいなことを書きましたが、1960~70年代のベストセラー作家・有吉佐和子の『ぷえるとりこ日記』と『海暗(うみくら)』です。

有吉が西インド諸島のプエルトリコを訪れたのは、1959年11月~60年8月にアメリカ留学をした際の学生旅行。かのコロンブスに「発見」されて以来、4世紀以上にわたってスペイン領だったプエルトリコは、1898年の米西戦争でアメリカ領になり、1952年に自由連合州となった島。

その旅行から4年後に発表された『ぷえるとりこ日記』(『文芸春秋』1964年7~12月)は、ニューヨークの女子大からプエルトリコへ農漁村の調査に来た日本人とアメリカ人学生の「日記」を交互に配し、スペイン語で「豊かな港」の名を持つ島の人々が、アメリカの市民権獲得(1917年)から40年以上経っても、植民地同様に搾取される様子を描いています。

これがなぜ、在日米軍再編に関係あるかというと・・・。

ソ連が建設したミサイル基地の撤去をめぐって、米ソ間に緊張が走った「キューバ危機」は、有吉の帰国後、1962年の出来事。それも踏まえて書いたと思われる『ぷえるとりこ日記』には、日本人・崎子にデートを申し込み、プロポーズまでするホセという青年が登場します。

プエルトリコの米国からの独立を考えているホセは、キューバのように「アメリカと戦う姿勢による独立」では、「反対にロシアの餌食になりかねない」、だから「アメリカと友好関係を保ちつつ独立」するには、「手本とする国は世界中で一つしかない。それは日本だ」なんて語るわけです。これって、戦後の日米関係の問い直し、というか皮肉たっぷり。

プエルトリコというアメリカの離島から「冷戦」の時代に触れた有吉は、御蔵島という日本の離島からも、在日米軍問題に触れています。それが『海暗』(『文芸春秋』1967年4月~68年4月)

伊豆諸島の御蔵島は、1964年1月に在日米軍水戸射爆場の代替地に挙げられ、その4ヵ月後には米軍が要求する条件に合わないと候補から外された島。

1966年に2週間に1度(当時)の定期船で御蔵島を訪れた有吉は、伝統産業のツゲ材はプラスチックに押され、若者は中学卒業と同時に出て行くという島の人々を驚愕させた米軍移転問題を軸に、先祖代々の土地と補償金の間で揺れる離島の生活、移転問題の根幹にある日米安保条約の存在に焦点を当てています。

この作品では、島で80年生きてきたというオオヨン婆のセリフが出色。「戦争はしねえと云っている国で、なしてよその国が戦争の稽古をする」、「どうも日本は、まだ戦争に負けたまんまだという気がしてなんねえぞ」。島=郷土を愛するオオヨン婆の「愛国心」、自民党の皆さんと違って本物って気がします。

どちらもネットで検索すると、一般書店では「現在お取り扱いができません」とのことで、私が持ってるのも文庫の古本。まだ読み直す時間がないので、これを書くのに参考にした2004年10月刊行の『有吉佐和子の世界』(右の「おすすめ本」)も、早くも「お取り扱いができません」。

私たち(彦一さん壱景さん、金曜に飲んだK島さんもそうでしょ?)が生まれた頃って、こういうことが小説になってたのね~って思うんですけど。

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コメント

飛ぶように売れて在庫なくて「お取扱いできません」かもしれないっすよ、なわけないか。戦後アメリカさまの脳天気なお文化を丸呑みしてこんなんなっちゃってます(日本ですよ)が、松笠元帥にしばかれる前のどろどろの民俗性や慣習が梅雨間近のこの時期には恋しくなります。わたしは昨夜「砂の器」のDVD見て斯様に思った次第です。

松笠元帥で思い出したので、「おすすめ本」にもう1冊追加。GHQの前に立つ元帥の像がカーネル・サンダースの人形そっくりな、いつか改めて触れてみたい星野之宣センセイのマンガです。あと、『宗像教授伝奇考』1~7は、まさに民俗学の世界。大好き!

まちこ先生!やっぱいいねぇ〜!最高です。
共感しまくりで大変な事に成りそう!この文学的アプローチの説得力は
凄いなぁー。

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