香箱を作る
「香箱(こうばこ)を作る」とは、ネコが腕(前脚)を内側に曲げ、胸の下に隠すようにして座る格好のこと。「箱すわり」ともいいますが、小説にも、
- 虎斑の猫が一匹積み上げた書物の上に飛び上がって、そこで香箱を作って、腸詰の匂を嗅いでいる。 (森鴎外「青年」)
- 紺と白茶と格子になった炬燵蒲団の上には、端唄本が二三冊ひろげられて頸に鈴をさげた小さな白猫がその側に香箱をつくっている。(芥川龍之介「老年」)
なんて出てきます。ともあれ、この格好は、ネコと一緒に暮らす者にはお馴染みな、なんとも心和む姿なので、つい真似をしたくなったというのが、このブログ・タイトルの由来。
ネコが香箱を作るのは、心身が落ち着いているとき(腕を胸の下に敷いているので、警戒・攻撃体勢に移りにくい)らしいのですが、瞑目しながら何考えてるんだろうなあ・・・なんて思ってしまいます。
キッチンに走っていって「おやつー!」というときの大声の「ニャー!」。しっぽをピンっと立てて近づいてくるときの「ワタシを見て!」。外出・帰宅時に玄関でお腹を見せて転がる「行っちゃうのー?」「お帰りー!」。
それに、長時間PCに向かっているとき、椅子に片手をかけて立ち上がり、もう片方の手で私をたたく「まだそれするの?」などなど、「香箱」のほかにもボディ・ランゲージいっぱいの同居ネコですが、彼女と私が共通して好きなものがハーブ。
ベランダの香り草をクンクンと嗅いで、キャットミント、レモンバームは食後のお口直しとばかりにパクっと食べてしまいます。
というわけで、「こうばこ」ではなく、「かおりばこ」。箱のようなマンション暮らしに漂うできごと、思ったこと、考えたことを風が向くまま気が向くままに書いてみようと思います。
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